相続対策③ 投資物件の購入

こんにちは。

今回は不動産の購入についてです。

相続税を計算する時はまず相続開始時現在の財産の金額を確定させる必要があります。専門的な言葉で言いますと、財産の評価額を算定することになります。
主な財産の評価方法は以下の通りです。
1.預貯金等の金融資産・・相続開始日の残高
2.土地・・路線価×面積×価格補正率(地方の一定地域は固定資産税評価額×一定倍率)
3.建物・・固定資産税評価額

2の路線価は国税庁のHPで毎年7月に公開されていますが、一般的に公示価格、いわゆる時価の80%相当で定めていると言われています。また3の固定資産税評価額は同じく時価の70%相当と言われています。この時価と評価額の差額に着目して相続財産の評価額を圧縮しようというのが、よくメディア等で言われている不動産購入による節税の方法です。
さらに建物を他人に貸している状態ですと、土地は貸家建付地評価、建物は貸家評価になります。

具体的には以下のようになります。
 例:借地権割合が60%の場合(借地権割合は路線価図に記載されています)
 (1)時価 ・・土地の時価10,000、家屋の時価 5,000、合計15,000
 (2)評価額・・土地の評価額8,000、家屋の評価額 3,500、合計11,500
 (3)貸家だった場合の評価額  
    ①土地の貸家建付地評価額・・8,000×(1-60%×30%)=6,560
    ②家屋の貸家評価額・・ 3,500×(1-30%)=2,450
    ③合計9,010

このように、預貯金で1.5億円を余らせているよりかは、家賃収入が見込める賃貸物件を購入することで、運用益も得られるし相続税評価額も約4割下げることが出来る、というのが相続対策として不動産を購入する場合の考え方です。

この場合もやはり事前の検討が必須で、実際にどの程度相続税がかかるのか、納税資金の充てはあるか、お子様は物件の相続を望んでいるか、今後の賃貸運営にあたってのシュミレーションなど、色々と検討した上で実行することが必要です。
もし納税資金が足りなくて売却せざるを得ない場合に、景気が悪かったり、空室で賃貸収入が見込めない状況だったりすると、結局売値が9,000万とかになってしまったら、相続対策というよりはただ6,000万円損しただけになってしまいます。

投資物件を購入する場合は、相続対策として購入するのではなく、資産運用の一環として投資物件を購入する、と同時に相続税対策にもなる、という考え方が必要です。

余談ですが、
一時期タワーマンションの購入による節税の手法がよく聞かれていました。
タワーマンションの場合は10億の物件の評価額が2億円になってしまうなど、時価と評価額の差がかなり乖離しているケースがあり問題になっていたところでしたが、最近では例えば相続開始前に購入し、相続開始後にすぐ売却するなど、相続税対策と認定された場合は否認(2億じゃなくて10億で評価)される可能性が高くなっています。

じゃあすぐ売却しないでしばらく持っていた場合はどうなのか、という気もしますが・・

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