平均課税とは
今回は前回軽く触れました「平均課税」についてご説明します。
対象になる所得は以下のとおりです。
1.変動所得・・年々の所得に変動がある職種
①漁獲又はのりの採取から生ずる所得
②はまち、まだい等の養殖から生ずる所得
③原稿又は作曲の報酬に係る所得
④著作権の使用料に係る所得
2.臨時所得・・長期間(3年以上)の契約等についての一時金
①野球選手等の契約金
②貸地等の更新料
③営業補償金など
前回のマグロの初競り収入は、変動所得の漁獲から生ずる所得に当たります。
※(追記)
不動産オーナーが貸地の更新料を受け取った場合には2.②に該当するので、平均課税の適用があるかどうか検討が必要になります。
では、前提に所得税の仕組みについて軽くご説明したいと思います。
所得税は累進課税といって所得が増えるほどより高い税率で課税されることになっています。
例えば、下記の場合どちらも5年トータルの所得金額は1億円で同額ですが、税額は大幅に異なります。
1.4年間の所得がゼロで次の年の所得が1億円の場合
所得税額・・約3,700万円(最終年のみ)
2.5年間の所得がそれぞれ年2千万円の場合
所得税額・・約2,600万円(年520万円×5年)
1と2の税額の差額・・1,100万円!
ただ対象になる所得で挙げたように、職種によって年々収入に波がある場合(変動所得)や、臨時で収入が発生する場合(臨時所得)もありますので、このような場合には「平均課税」という特例を設けてなるべく所得をならして課税するように調整を図っています。
具体的な計算方法は、1年分の変動所得や臨時所得の金額を5年間にならして課税する方法で、上記の例ですと1の場合でも2のように税額を計算します。
しかし例のような極端な場合は分かり易いですが、所得の波が緩やかな場合や臨時所得もそれほど高額ではない場合は適用がなかったり計算方法が変わったりもしますので、詳細はご連絡いただけたらと思います。
なお個人事業の場合は所得税の他、住民税、事業税が別途かかりますが、住民税は一律10%、事業税も業種によって若干税率が異なりますが主に一律5%となっていますので、上記のように所得をならす平均課税の特例はありません。